2005年10月30日

web小説 「CAMPUS LIFE」 椿瀬誠

書評2発目はweb小説です。
CL1.jpg
私の師匠にあたる椿瀬誠様の作品「CAMPUS LIFE」を紹介します!
現在、この作品の続編が椿瀬様のサイトAnother Landにて好評連載中です。
―――あらすじ―――
運命の出会いを求め、地方の大学に進学した、主人公・真部祐紀。
ボランティアサークルで、出会った「鎌井直」と、いいカンジ。
なんだけど……祐紀には、誰にも言ってないヒミツがあった。


この作品、設定が実に面白い。
かなりのネタバレになるが、コンセプトは逆転カップルラブコメディー。
つまり、オカマとオナベのカップルである。
今作での主人公は辛い過去があり、地元から逃げてきた一人暮らしの大学生の真部祐紀。
実際、今作では明かされないがとんでもない過去を持っているオナベだ。
その辺は続編「CAMPUS LIFE R」を読んで頂きたい。
web小説でも舞台にされることがあまり無い大学という世界。
高校での学園生活というものが主流の現在のweb小説ラブコメとはひと味違う味が出ている。
地元を飛び出し、いざキャンパスライフを満喫するぜ!と意気込む主人公。
心の優しい女の子が一杯いると思って入ったサークルはなんとマッチョ2人しかいないむさ苦しいサークルだった。
そこで登場のヒロイン兼オカマ、鎌井直、本名鎌井直紀。
その子の登場で主人公はそのサークルにとどまることを決める。
そして、その子に様々な方法でアプローチをかけていくのだ。

この作品で目を見張るところと言えば、キャラクターの個性である。
実際、メインとしてはわずか4人しか出てきていないが、それぞれが強烈に濃い。めちゃくちゃ濃い。
メインカップルの二人がオカマにオナベっていうのもかなり衝撃的だが、ボランティアサークルの会長、副会長のマッチョコンビもかなり濃い。

「姫、ヅラってどういうことさ?」
「ごめんなさい……実は私、男なんです。名前も本当は、鎌井直紀です。……すみません……」
あぁ、冗談じゃなかったんだね……。少し気が遠くなってきた。
親に勘当されたのも、これが理由なのかな?
「アツシィィィィィ」
「ツヨシィィィィィ」
細木さんと剛田さんが、抱き合ってテイクオフ――現実逃避してしまった。


思わず吹き出した
この二人の行動は実に面白い。
脇役に徹しながらも、存在感を存分にアピールしており、物語のテンションを高める重要な位置にあったかと思われる。
個性豊かなキャラクター達がこの物語をしっかりと牽引していっているのは間違いない。
しかし、濃いキャラクターばかりで脇役でもいいから普通のキャラクターが出てきてほしかった。
平凡なキャラクターが出てくれば、周りの個性豊かなキャラクターがさらに引き立てられ、それに彼らの行動にツッコミなどを入れられたのではないだろうか?
個性豊かなキャラクター達をさらに際だたせる為の工夫が少しほしかったのが本音であるが、所詮工夫である。そんなキャラがいなくてもメインのキャラ達はかなり目立っていると言えるだろう。

最後に、話の構成について述べたいと思う。
この話は春から始まり、秋で終わった。
その約半年の間を8話、いやプロローグ、エピローグを除くと6話の中にまとめ上げた技術は素晴らしいと思う。
実際、それだけの期間を書くとなると10話、20話いってしまう場合もある。
しかも、恋愛が成就するまでの流れである。
何故、6話で丸く収められたかというと、起承転結がハッキリしているからだ。
最近の長編、または恋愛小説は起承転結が起承承転転結転結って感じになっていると思う。
出会い、恋に落ちる。でも、その恋を成就させるには壁を乗り越えなくてはならない。そして、何とか乗り越えるも、またも新たな壁が立ちはだかる。
つまり、アッサリとゴールインさせないのだ。
こう、一つの壁を乗り越えゴールしたこの作品はかなりスマートな作品だ。
しかし、短い分欠落した部分も多く、やはり6話分で約半年分は苦しかったかもしれないと思われる。
自分としては、最終話にあたるエピローグはいらなかったのではないかと思う。まぁ、続編を書いているので今では必要不可欠な話だが。
後日談というものはあまり書かない方がいいと私は考える。
苦難を乗り越えたそのあとは、読者の想像にお任せする。読み終わったあとも、読者はその後どうなったかを自分で想像することによって物語の余韻につかることができるのだ。
それに、いらぬ伏線を張っている点も少し気になる。
続編で明かされているとはいえ、真部祐紀の伏線はここでは必要なかったのではないだろうか?
続編の最初で伏線を張っていても十分間に合ったと私は考える。

書評のまとめとしては、かなりスマートで強烈な作品であったといえる。
その分、少し長さが苦しかったかもしれないし、意味のない伏線があった。
物語としてはかなり面白く、個性的キャラにかなり笑わされる物語だ。
台詞のところを太字にしてあるので読みやすい点も良い。
なかなかオススメな作品であると評し、書評を締めくくりたいと思う。

掲載サイト  Another Land
掲載ページ  CAMPUS LIFE
作者  椿瀬誠



posted by ヘボラマン at 20:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説レビュー web小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月29日

角川文庫 「NHKにようこそ!」 滝本竜彦

では、書評1発目いっきまーす!
NHK.jpg

まずは、私が尊敬する作家の一人、滝本竜彦氏の『NHKにようこそ!』
作者は「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」で第5回角川学園小説大賞特別賞を受賞しデビュー。コレが2作目。

―――あらすじ―――
自分のひきこもりの原因にはある陰謀が絡んでいると信じ込んだ佐藤達広。彼はその陰謀に対峙することを決意する。そんな達広の前に現れたのは、日傘を差した清楚な美少女だった。彼女はなぜが、達広につきまとい始めて…。


これは本当に俺独自の見解なので文句はつけないように。かなり偉そうですがそこは大目に見てください。

この作品。俺は読んでいて真っ先に思ったことは「興味深い」ということだ。
まず、この作品のテーマの着眼点。
「引きこもり」というのはあまりパッとしないテーマだ。しかし、今や一種の社会現象とでもいえる「引きこもり」時代の流れを一早く取り込んでいると思える。
現に、引きこもり小説などという物を書いている作家などいない。いるわけがない。
しかし、彼はその引きこもりをテーマとして扱っている。
これは実に斬新で奇抜なアイディアだと俺は思う。だからこそ、この作品は独特な良さが出ていると思う。

更に、滝本竜彦の言い回しが実に巧みだ。
地味な「引きこもり」というテーマをどうやって派手に目立たすか。
その目立たす為の脇役として、「山崎」というキャラが出てきたのだと思う。
「山崎」は、引きこもりにありがちなヲタクだ。そのヲタクっぷりを全面に押し出している。そして、「佐藤」がそれに染まっていく。
実にシンプルだが、その染まりきるまでの「佐藤」の反応が実に初々しい。きっと、現に存在するヲタクたちも最初はそうだったのだろう。
最初の内は否定しながらも、なかなか手放すことができない。そして、いつの間にか「山崎」のように染まりきっている。
まさに、ヲタクができるまでを見ているようだ。

さらに流石青春文学。ちゃんとしたヒロインまでも出てきている。
それが謎の美少女「中原岬」
このキャラクターは背景に虐待という過去を持つ。
これもまた、現代の社会問題である。
その虐待の過去に苦しみ、自分を見下し。自分より駄目な人間を探す。これは自分を安心させるため、現に今の社会の人たちもこのような傾向があると思える。
そして彼女は、「自殺」という手段に出る。今日、自殺もまた社会問題となっている。彼女は、あまりにも自分のことを駄目と思いこみ、そして自分より駄目な「佐藤」という人物に、拒絶されてしまったことに絶望したのだろう。
自分はもう駄目だ。まさに、現代の人たちが思うようなことを思い、自殺しようとする。

他に、この作品には大きな魅力がある。それが著者の「滝本竜彦」の経験である。
彼は大学を中退し、引きこもりのような生活を送っていた。
実際、そのおかげでこの作品の舞台は明確に確立され、かなりリアルに描かれている。
あまりにもリアルでなければ呆れるだけだし、逆にリアルすぎてもおもしろくない。
彼の作品は自らの経験を元にちょうどよい辺りで書かれているのだ。
故に、この作品を一言でまとめるとすると、この作品は今の社会問題を色濃く反映させ、自らの経験も交えた、コミカルな作品といえよう。

では、失礼しまーす。
posted by ヘボラマン at 22:14| Comment(0) | 小説レビュー 角川文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

小説レビュー企画 立ち上げ!

はい、どーもヘボラマンです。
この度、20000hitを記念して、小説レビューを始めたいと思います。
様々な作品のレビューを片っ端から批評していきたいと思います。
時に厳しく、時にベタ褒め。
まぁ、とりあえず良い作品を世に知らしめ、良くない作品は筆者に改善点を指摘してあげる。
まさに超迷惑でもあり、少しばかり有り難い(?)存在になればいいなと思っております。
とりあえず、最初の内は相互リンク様の小説を次々にレビューしていきたいと思っています。
めちゃくちゃ辛口になる場合があります。
気に入らなかった場合はすぐにメールでもweb拍手でも何でもいいので管理人に文句言ってやってください。
すぐに掲載を取りやめ、お詫びに行きますので。
また、『評価をつけてほしい』とか『感想をいただきたい』とかいう人がいましたら、適当に管理人にお知らせください。
速攻読みに行きますから。レビューは遅くなるかもしれないけど。

とりあえず、レビューです。レビューやります。
更新はそれほど多くできないと思います。せいぜい月に何度か、とか。
まぁ、気長にやりますよ、気長に。
では、これからヨロシク〜。
posted by ヘボラマン at 21:48| Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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