2005年12月29日

web小説 Like or Love 盗鬼

さて、前回の書評からかなり間が空きましたが第4弾行きまーす。

今回は前回と同じ相互リンクサイトの水空の盗鬼様の作品Like or Loveを紹介します。

――あらすじ――
楓と郁は会うたび喧嘩する。
それは、他愛無い喧嘩である。楓は、彼のことが好きだ。けど、男としてじゃなく、友達としてだけど。
ある日、楓は郁に想いを伝えられる。自分は郁のことをどのように思っているのか。
LikeとLoxeの狭間で揺れ動く学園コメディ。


中編の本作品。なんていうかありふれた『幼馴染み』→『恋人』の過程を描いた作品である。
そのテーマを元にして、一貫した作品が書かれている点は評価すべきところだ。
では、これから細かいところをしっかりと検証していきたい。

まずこの作品。主に楓視点の一人称である。
描写が少なくスッキリとした文体である言えよう。また楓の内心はしっかりと描写され、LikeとLoveの間で揺れ動くところが実に巧みに書かれていると思われる。
また意外と起承転結がハッキリとしている。
最初の『起』は現状把握。郁と楓の関係や、周りの様子。そして二人が『親友』であるということの確認。
次の『承』は楓の気持ちの確認。そして郁に恋人ができたという噂。これによって楓の考える二人の関係の根底が揺らいでくる。この辺りから楓は郁との関係を何度も自らの中で確認している、これは今の関係が崩れるのを恐れ、また郁に恋人ができるということに何故だか危機感を感じているからだ。そのような揺れ動く楓の気持ちを彼女の行動で表せている点は感心する。
そして『転』。ここで楓は郁の気持ちを知ってしまう。郁との関係はあくまでも『親友』であり、その関係が『恋人』になるなんて微塵も思わず、また決して『認める』ことのなかった楓にとってはかなりショックな事件で、『承』で揺らいでいた二人の関係が完璧に消え去った瞬間でもある。
ここで楓は自分の想いについて見つめ直すが、五里霧中の状態で結論が出ない。そしてそこに郁の事故という『きっかけ』があって楓は自らの気持ちに気づくことになる。
まぁ、ここまで言ってしまうと『結』は二人は新たな関係として出発するということだ。『親友』という関係も残っているだろうが、主に『恋人』という肩書きで楓と郁という二人のキャラクターはこれからを過ごしていくだろう。

このように、今作品はしっかりと筋道を立て、物語の基本中の基本『起承転結』を守ってストーリーを進めている。これは基本ながらも難しく、こう形が整っている作品はそう多くはない。

では、この作品の問題点を羅列していきたい。
ハッキリ言うと物語以前の問題だが、少しばかり『小説』としては言い難い点がある。
まずは沈黙を表す『…』
この作品では『…』ではなく『・』を使っている。これはイタイ。小説では『…』が基本なので、これからは『…』を使ってほしい。最低限のマナーでもあるので。
また『!』や『?』の後には必ず半角あけなくてはならない。
例を挙げると
「いいかぁ!すぐに帰るんだぁ!」は×
「いいかぁ! すぐに帰るんだぁ!」は○
というわけだ。この点さえ守ればしっかりとした小説の形式となる。
小説を書いていくならば成長しなければならない。まぁ、私も昔は守っていなかったわけだが今ではしっかり守っている。これを期に直すと最高だろう。

さて、話が少し脱線してしまった。では作品に戻ろう。
この作品は少し煩わしいところがあった。
まずは楓の心情。郁との関係はあくまでも『親友』。郁のことは友達として『好き』。
ハッキリ言って、このことを何度も復唱しすぎた。あまりに繰り返しいうものだから読者は「だからもうそれは分かってるつーの!」とうんざりしてしまう。
そのことを強調すべき場面で強調すべきであり、無意味に連呼するのは逆に作品の出来を悪くしてしまう。
それに何故だかこの作品を読んでいて作品の世界に入れない。
それは(これは思いっ切り私の見解だが)主人公(楓)が一人でボケ、一人でつっこんでいるからであろうと私は考える。
つまり読者は何も考えなくてもキャラクターが勝手に明かしてしまう。それもすぐ後に。これでは読者はただ文字を見るだけになってしまう。これは激しくマイナスだ。
また文末表現が同じのを多用しすぎている。『〜った』や『〜た』。同じ文末を続けて何度も使ったり、短い間隔で使うとハッキリ言ってリズムが一緒でおもしろくない。
何も、答えられなかった。
郁のことは何でも知っていると・・・侮っていた。
生まれたときから同じ・・・とは言いがたいが、幼稚園に入る前から一緒にいる私たち。
私のお父さんと、郁のお父さんが親友で、
私のお母さんと、郁のお母さんが親友で。
だから、私たちは親友で。
だけど、お互いに恋愛感情と言うものは無かった。
むしろ、恋愛について話していたほどの仲だった。
あの出来事が起こるまでは。
中学1年生のある日、新斗君に告白された。
私は、そのとき彼が好きだった。
勿論、男としてじゃなく、友達として。
だから振った。
恋人同士になることを拒否した。
何故かは分からないが、それ以来互いの恋愛に関しては話さなくなった。
・・・そういえば昨日、何ヶ月ぶりか分からないが、私の家の前で郁に引き止められた。

この通り、文末が同じ文が目立つ。これは工夫さえすれば避けられることなので、今後から気をつけるべきであろう。

以上のことを踏まえて、この作品は形が整った作品ではあるが、細部にその形を乱してしまうところがあり実に惜しい作品であったといえる。
前作と比べるのは酷だが、今作は少々前作より劣っていただろう。
暇つぶし程度に読むのはいい。物語もいい。でも、細部をもっと整えれば、大変よい作品になるだろう。
では、この辺で今回の書評を締めくくりたいと思う。

掲載サイト  水空
掲載ページ  Like or Love
作者  盗鬼


posted by ヘボラマン at 18:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説レビュー web小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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