2007年03月02日

web小説 無題 ジョー

どーも、皆さんお久しぶりです。前回の書評からは激しく間が開いておりますが、今回、書評依頼が舞い込んできましたので、気合いを入れて一発やりたいと思います。

今回、書評する作品はジョー様のオリジナル作品です。

――あらすじ――
主人公の相沢祐一この間大学に受かったばかりの一八歳。彼には三つ年上の藤木綾という幼馴染みがいた。
あれこれしてくれる彼女に、有り難く思いつつも、気恥ずかしく思う祐一。大学進学をきっかけに、念願の一人暮らしを手に入れたはずだったが……。一つ屋根の下の、ドタバタラブコメディ


現在はまだプロローグと第一話(四部構成)しか掲載されておりません。作品としては、筆者の処女作というそうです。
では、これから書評に入りたいと思いますが、基本的に辛口でいくのであしからず。処女作と言うことですが、容赦無しでお願いします^^;

さて、本作を一通り読ませてもらって思ったこと。もちろん良い点、悪い点両方があった。しかし、どうしても処女作というわけで、悪い点が遙かに多く、またよい点も指摘して褒め称えることが出来るほどではないものであった。
あまりに厳しめに言って、著者の今後の創作意欲を削ぐことになってしまってはいけないのだが、今後も読者を「楽しませる」作品を書いていって欲しいと思うので、しっかりと問題点を指摘していきたい。

まず、基本的な知識に関して。今作品はだいぶ基本的事項に欠落が見られた。段落の頭が一マス空いていない。「!」や「?」のあとのスペースも空いていない。地の文の終わりに読点がない。自分もまぁ、書き始めた頃にはこんな感じであったが、せめて普通の文の終わりには読点はつけてほしい。これは小説を書く上での基本以前の話である。

さて、次に全体的な印象だが、読者を置いてけぼりにしている感がある。
大いに問題があるのが地の文である。今作品は昨今のラノベか、はたまたweb小説などの影響を受けているのか、ものすごく台詞が多く、地の文が少ない。別にこれが悪いと言っているわけではない。台詞が多い作品で面白い作品だってこの世には沢山あるし、小説は登場人物たちの面白いやりとりを楽しむものでもある。
しかし、台詞がメインとなる場合、地の文の重要さがかなり増す。如何に読者を混乱させずに、かつ語り部の考え(つまり語り部を担っている登場人物の考え)を伝え、誰が誰に向かって話しているか、そしてその状況がどんなもので、場所が何処なのか。そんな台詞だけでは表現しきれないことを短い地の文で表す技能が必要となる。
今作品は地の文が少ない上に、あまりにも淡泊で適当感漂う。また、台詞のやりとりにも厚みがない上に、不自然さが至る所に目立つ。

「私は仕事の挨拶にでも行ってこようかしら」
「社会人も大変だねぇ」
「当たり前よ。日本の未来は私たちにかかってるんだから」
「プッアハハハハッ」
「な、何よ!?」
「いや、よくそんな恥ずかしいこと言えるなと思ってさ」
「べ、別にいいじゃない。本当のことなんだし。祐一もあと四年したら社会人なんだからね」
「そうだねぇ。だったらこの四年間遊びまくらないとなぁ」
「遊ぶのもいいけど、ちゃんと勉強もしなさいよ?そうじゃないとまともな職なんてないんだから」
「分かってるよ。綾姉は本当に世話焼くの好きだね」
「昔からでしょ。今更変わるはずもないわ」
「それもそうだね。じゃ、もう行くね」
「ノブ君によろしくね」


作品から引用した文だが、何か不自然さを感じないだろうか。あまりにも淡泊で、内容の薄いやりとり。途中に地の文が全く挟まれていないが為に、厚みが減ってしまっているのだ。
また、やりとりがとても焦っているように感じられ、大変テンポが悪い。本来、我々が会話するときのような間が、この中にはないのだ。
さて、この文をこう変えてみるとどうだろう。

「私は仕事の挨拶にでも行ってこようかしら」
「社会人も大変だねぇ」
 しみじみ、そう思う。引っ越した当日に挨拶回りだなんてな。
「当たり前よ。なんていったって、日本の未来は私たちにかかってるんだから」
 とても真剣な眼差しでそう言う綾姉。に、日本の未来って……
「プッ、アハハ!」
「な、何よ!?」
「い、いやぁ、よくもまぁ、そんな恥ずかしいこと言えるな、と思って……」
 俺がそう指摘すると、綾姉は今更ながら恥ずかしさがこみ上げてきたのか、顔を真っ赤にさせた。
「べ、別にいいじゃない。本当のことなんだし。祐一もあと四年したら社会人なんだからねっ」
「うへぇ、そうだなぁ……。だったらこの四年間遊びまくらないと」
「遊ぶのもいいけど、ちゃんと勉強もしなさいよ? そうじゃないとまともな職なんてないんだから。就活をなめると怖いわよぉ」
「分かってるって。ホントに綾姉は世話好きだねぇ」
 思わず苦笑しながらそう言うと、綾姉はちょっと怒った顔で
「今更なによ。昔からのことでしょ。それに、祐一のためじゃない」
「はは、ま、それもそうか。じゃ、そろそろ行くよ」
「うん。あ、ノブ君によろしくね」


少しばかり、台詞の間に地の文を入れ、また台詞も出来るだけ自然に近づけてみた。こうするだけでも、同じ内容の会話であるにもかかわらず、だいぶ印象が変わる。
地の文と、会話の間を意識することで、ここまで文章は変えることが出来るのだ。

では、次に作品の内容に触れてみたいと思う。主人公の相沢祐一はいつも自分に世話を焼く幼馴染みの藤木綾を疎ましく思っていた。それは思春期男子特有の、自分でやる!と言った精神だろうか。女の子に頼り続けることに気恥ずかしさを感じていた。
と、これは実によくある話である。その後、大学に合格し、一人暮らしを勝ち取った祐一。やっと綾姉と離れられる……。と、ここでやっぱし転がり込んでくる幼馴染み。ありきたり。
まだ第一話で、それと言った大きな動きもないのだが、ここまではどこにでもある話をなぞったような展開だ。
つまり、オリジナリティが足りない。自分が見て欲しいという場面がないのだ。
作品を書いている中で、筆者は必ず「ここを是非とも読んで欲しい!」という場面を入れる。私だって「この台詞を言わせたい!そして読んでもらいたい!」と考えて、わざわざそんなシチュエーションに無理矢理展開を変えたことがある。
何だけれど、今作品にはそのようなことが感じられる部分がなかった。
作品の冒頭というものは、読者の関心を惹くためにも出来るだけインパクトがあり、次回に興味がそそられるものでなくてはならない。しかし、どうにも読んだことがあるようなこの作品は、読者の関心を惹きつけることが出来ないように思われる。
ただ、同じようなネタでも、書き方によっては興味を惹きつけることが出来る。
例えば幼馴染みが転がり込んでくるシーンをちょっと変えてみる。主人公が部屋でのんびりしてたら急に引っ越し業者が荷物を運び入れてくる。突然のことに主人公が驚いていると、そこに綾姉が登場。そこで続きはまた次回。
こうしてみると、急に現れたあの女性は誰だ! ていうか、主人公はどうなるの? なんていう興味が湧いてくる。
ネタが既成作品と似通っていても、展開の違い、進み方の違いで全く別のように感じることが出来る。つまるところ、これは書き方の問題である。巧く書けるか書けないか。ただそれだけのことなのだ。
一話目のインパクトが物語のすべてを左右すると言っても過言ではない。如何に興味を惹きつけるか。それが重要だ。

大変偉そうなことをつらつらと述べてきた。でも、小説を上達させるためには、時には他人の厳しい意見が必要だと私は思う。是非とも、この書評を読んで、さらに創作意欲をあがていってほしい。
それと、余計なお世話かもしれないが、作品には題名をつけた方がいい。名は体を表すとも言うからだ。
また、最後に一言アドバイスしておくと、もっと本を読んだ方がいいと思う。多くの本を読むことによって、そこから技術を吸収していくのだ。ただ、一つ忠告しておくとラノベばかり読むことはオススメしない。出来るだけ幅広く、また過去の作品を読むことを推奨する。過去の作品からは、技術だけじゃなく様々な知識も得られるからだ。

さて、これにて今回は書評を閉じたいと思う。ジョー様の次回作に期待したい。

掲載サイト 白の刹那
掲載ページ ジョーの小説
作者 ジョー


posted by ヘボラマン at 21:50| Comment(1) | TrackBack(0) | 小説レビュー web小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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